この記事で分かること
- Power Query がどんな機能なのか
- 手作業でのデータ整形と何が違うのか
- どんな場面で使えるか・使えないか
- Power Query エディターを開くまでの基本操作
「毎月同じ前処理を手作業で繰り返している」「CSVを取り込むたびに列の並べ替えや不要行の削除をしている」という方に向けて書いています。
どんな場面で使うか
Power Query が特に力を発揮するのは、定期的に同じ形式のデータを取り込んで整形する場面です。
- 毎月システムから出力されるCSVを Excelに取り込んで集計している
- 複数部門から送られてくる報告ファイルをまとめて集計している
- データ取り込み後に「不要な行を削除→列を並べ替え→型を変換」を毎回手作業でやっている
- 設備ログや測定結果のCSVを手で整形してから分析している
逆に、Power Query が向いていない場面もあります。
- 一度きりの作業(毎回データ形式が異なる場合)
- セルに手入力するだけのシンプルな帳票作成
- 他のアプリへのデータ送信や複雑な条件分岐処理(これはVBAが得意)
基本説明
Power Query とは何か
Power Query は Excel に組み込まれているデータ取得・加工ツールです。Excel 2016 以降は標準機能として「データ」タブから使えます。
手作業でのデータ整形と Power Query の最大の違いは再現性です。
| 手作業 | Power Query | |
|---|---|---|
| 設定の保存 | されない(毎回やり直し) | ステップとして記録される |
| 更新 | 最初からやり直し | 「更新」ボタンを押すだけ |
| ミスのリスク | 毎回発生しうる | 設定が固定されているため低い |
| 引き継ぎ | やり方が属人化しやすい | 設定を渡せば同じ結果になる |
3つのステップで理解する
Power Query の処理は「取得 → 変換 → 読み込み」の3段階です。
- 取得: データの場所を指定する(CSV・Excelファイル・フォルダ・Webなど)
- 変換: Power Query エディター上で整形する(不要列を削除・型を変換・フィルターをかける)
- 読み込み: 整形済みのデータを Excel シートに出力する
この3段階の設定は「クエリ」として保存されます。次回以降は「更新」を押すだけで同じ整形が自動で再実行されます。
手順
Power Query エディターを開く
まずは CSV ファイルを Power Query で取り込んでみます。
1. 「データ」タブを開く
Excel のリボンから「データ」タブをクリックします。左端に「データの取得」グループがあります。
2. 「データの取得」→「ファイルから」→「テキスト/CSVから」を選ぶ
「データの取得」ボタンをクリックすると階層メニューが開きます。「ファイルから」にカーソルを合わせ、展開されたメニューから「テキスト/CSVから」を選びます。取り込みたいファイルの種類がここで決まります。
3. ファイルを選択してプレビューを確認する

CSV取り込みプレビュー画面
ファイルを選択するとプレビューが表示されます。左上の「元のファイル」で文字コード、その右の「区切り記号」で区切り文字を確認できます。文字化けしている場合はこの画面で文字コードを変更します(Shift-JIS の場合は「932: 日本語 (シフト JIS)」を選択)。
4. 「データの変換」をクリックして Power Query エディターを開く
「データの変換」を押すと Power Query エディターが開きます。ここで整形の設定を行います。「読み込み」を押すとそのままシートに出力されますが、整形前に一度エディターを開く習慣をつけると安全です。
エディターの画面構成(左のクエリ一覧・中央のプレビュー・右の「適用したステップ」)は、次の記事で詳しく説明します。
5. 「閉じて読み込む」でシートに出力する
整形が終わったら、左上の「閉じて読み込む」をクリックします。Excel シートにテーブルとして出力されます。
サンプル例
たとえば毎月届く「売上データ.csv」を取り込む場合、次のような整形を Power Query で一度設定するだけで、翌月以降は「更新」ボタンを押すだけになります。
設定内容の例:
- 最初の3行(ヘッダーより上にある説明文)を削除
- 残った1行目を見出しとして扱う(「1行目をヘッダーとして使用」)
- 「備考」列を削除
- 「売上金額」列の型を「テキスト」から「整数」に変換
- 「日付」列を「テキスト」から「日付」に変換
行の削除とヘッダーの昇格は、この順番が大事です。 説明文が残ったままヘッダーを昇格させると、説明文の1行目が見出しになってしまいます。先に不要行を削除してから昇格させてください。
Power Query エディターの右側に「適用したステップ」として各操作が記録されていきます。上の設定を行うと、次のようなステップが順番に並びます。
ソース
削除された最初の行数
昇格されたヘッダー数
削除された列
変更された型
このステップ一覧が「設定の記録」です。翌月に新しいCSVファイルで更新したいときは、クエリの接続先ファイルを変更するか、同じフォルダに上書きするだけで再実行されます。
よくあるエラー
「接続のみ」で出力されて、シートにデータが出てこない
「閉じて読み込む」の右の▼から「閉じて次に読み込む」を選ぶと、出力先の設定画面が開きます。「テーブル」を選択し、出力先シートを指定してください。
「更新」を押してもデータが変わらない
クエリの接続先ファイルのパスが変わっていないか確認します。「データ」タブ →「クエリと接続」→ クエリを右クリック →「プロパティ」と進むと「クエリのプロパティ」ダイアログが開き、「定義」タブでパスを確認・修正できます。
文字化けする
プレビュー画面の左上にある「元のファイル」から文字コードを変更します。日本語CSVでよく使われるのは「932: 日本語 (シフト JIS)」または「65001: Unicode (UTF-8)」です。
まとめ
- Power Query は「取得 → 変換 → 読み込み」の設定をクエリとして保存するツール
- 一度設定すれば、翌月以降は「更新」ボタンだけで同じ整形が再実行される
- 毎回同じ前処理をしている場面に向いており、一度きりの作業や複雑な自動化には向かない
次の記事では、Power Query エディターで実際によく使う5つの操作を手順ごとに説明します。
関連記事
- 【Excel 用語】初心者がよく混同する用語FAQ(相対参照と絶対参照、関数と数式 など) — 「テーブル」「クエリ」など、この記事の前提になる言葉の整理
- 【Excel VBA】 マクロの始め方 — 条件分岐や他アプリ連携など、Power Query では扱えない自動化の入口
- 【学習ガイド】Excel関数はこの順番で覚える — 実務で使う順ロードマップ — 関数側の学習手順をまとめたページ
対応バージョン: Excel 2016 以降(Microsoft 365 推奨)
